謎の紫系について


私がこの発色に気が付いたのは、もう相当前のことで思い出せないくらいですが、
初めは、ブルーグラスの発色の中に明らかに他の固体と違う紫色を帯びた固体が、
混ざって生まれるということぐらいで、ブルーグラスなどのブルー系は、シルバーに近い発色や
ブルーの濃いもの、薄いもの、グリーンに近いものなど、さまざまなカラーバリエーションが、
存在していたので、当時はそういったカラーバリエーションの一つだろうと考えていました。
これについては、筒井氏も『GUPPY BASE-BOOK Vol.2』の中で、ブルーグラスの体色による
尾びれの発色の違い(P69)について述べた中で、細かい色彩の違いで飼育者の好みだと言っている。
その紫色がこの遺伝子と同じなのかどうかは、過去の交配のデータを記録していないので、
何とも言えません。

 その後、紫を帯びた発色がジャパンブルーのブルーのボディにも出ることを確認し、
このジャパンブルーを使ってトパーズと交配してみました。
当時は、この遺伝子を分けられるとは思っていなかったので、いい加減にやっていた為、
記録の画像を残していませんでしたが、その後、トパーズのF2、F3と世代を重ねるごとに、
紫系統の固定が可能だと言うことに気が付き、メスのほうにも特徴があることがわかってきました。
トパーズに於いては、尾びれの色がムラが出たり、黄色い色が混ざったりと、
綺麗な紫色にたどり着くまでに2年くらい掛かりました。現在でも油断すると、尾びれにムラが出ますが、
それは通常のブルーのトパーズでも同じことなので、この遺伝子の影響ではないでしょう。

尾びれの黄色いシミの発色のある固体


こちらに力を入れていた結果、通常のブルーの系統は我が家から姿を消してしまいましたが、
通常の系統はいつでも創れますので、まあ良しとしましょう。

通常のブルーのトパーズと紫系統のトパーズの比較
ちょっと分かりにくいですか?
では、


この最後の写真はかなり見た目に近い写りです。

ではこの遺伝子は何の遺伝子なのかが問題ですが、
今までに分かっていることを整理してみると。

@他の系統と選別して分離することが可能。
実際に我が家では紫しか生まれないトパーズの系統が出来ている。
Aオスのボディと尾びれの色に影響(発色)を及ぼす。
Bオス、メスともに鰓蓋付近が他の固体より赤い、鰓蓋が透けている?
メスの尾びれも写真では透明に見えるが実際には薄い紫色をしている。

通常のトパーズの雌と紫系の雌の比較


紫系のRRE Aブラウの雄と雌

Cトパーズだけではなく、レースコブラにも遺伝する。

紫系のRrのレースコブラと通常のRrのレースコブラ

          

Dオスに紫系、メスに通常の固体ではF1は全て通常の固体になる。
常染色体の遺伝の可能性が高い。
RRE AではBの透明鱗の可能性が分かりにくいので、ノーマル体色で検定することにしました。
しかし上の写真を見る限り、透明鱗ではなさそうです。
現在このページの一番上のレースコブラを種親にして得たF1の交配中・・・結果はいかに?

或いはX上の遺伝子によるものだが、F1のメスも全てノーマル(鰓蓋が透けてない)ことから、
X上の遺伝とは考えられない。
オスに一つしかないX上の優性遺伝ならば、F1のメスの鰓蓋が透けるはずである。

Eブルー(Rr)だけではなく、体色レッドにも紫の発色が出る。
上の写真で分かるように、当然ながらRRE Aブラウにもこの発色が薄っすらと出ている。



こちらは紫の遺伝子を導入したレッドレースの比較
    
    以前はカメラマンつまり私の技術的問題で、紫色が上手く表現できなかったので、写真を差し替えました。

我が家ではかつてスタン・シューベル氏のUSAパープルデルタを飼育していましたが、
この系統とは交雑していませんし、発色も明らかに違います。

スタン氏のUSAパープルデルタ


この謎の系統については、現在も検定が進行中ですので、新たなことが分かりましたら、
また更新します。・・・・・・・いつになるやら・・・・・・。

おまけ
このブラウ固体はブルーレースを得た時の副産物です。(レッドレースのブルー化のブラウ)
ヘテロモルファがきらりと光る不思議なブラウですね。
この個体を見れば、レースコブラの鰭がメラニンの発色によらない尾びれだと言うことが一目瞭然です。
各鰭の模様がメラニンに依存していれば、各鰭は濃紺になりますが、下の固体は無色透明です。
つまり、レッドレースのレッドの尾びれは普通のレッドテールのレッドとは違い、
メラニンの影響を受けていない赤と言うことになります。この辺りにレースの秘密がありそうです。

コブラについては筒井氏が色々本やHPで取り上げておりましたが、筒井氏が亡き後、
その後の新しい発見は有ったのかなぁ?最近情報不足で遅れていたらごめんなさいね。

そもそもレース遺伝子ってなんでしょう?コブラと何が違うんでしょう?
筒井氏が書いているようにキングコブラのオスをCh(ノンカラード)のメスに交配すれば、
尾びれの形はどうであれ、日本で言うところのレースコブラのオスが一発で得られます。
じゃあCh+Fil=レースということでレース遺伝子はどこからでてきた?
そもそもレースってどこからどこまでの表現がレース?
尾びれの下地が無色で細かいレース模様をレース遺伝子というの?
それともボディの尾筒付近のうにょうにょ模様をレースというの?
レースのメスがいれば、Chと交配すれば本物のレース模様のオスが得られるの?

Dzwillo氏の論文ではにもともとあったレース遺伝子がに乗り換えしたのがFilってことみたいだけど、
引っ越して名前が変わる遺伝子って有りなの?遺伝子の染色体の乗り換え自体はありですが、
名前が変わるなんてどうなんでしょう?そこが根本的に混乱の原因だと思うんですけどね・・・・・・・
日本ではにフィリグラン=コブラ=スネークスキンとにノンカラードの固体をレースコブラとしていますが、
これはフィリグランとメスのX上の鰭の遺伝子との組み合わせに過ぎない訳で、
仮にレース遺伝子なるものがあったとして、フィリグランと分離できないなら
レースはフィリグランの表現型の一つで、両者は改良品種の世界では同じ遺伝子と言うことになる。
遺伝学的には異なっても分離できなきゃ大した意味はない。
いや、フィリグランよりレースの方が古いので、
キングコブラはレース遺伝子の表現型の一つに過ぎないと言った方がいいかもしれない。
或いはレースなどと言う遺伝子は初めから存在しないのかもしれない。
なんて・・・・・何か間違ってる?

話がだいぶそれましたが、最後に言い訳を
紫の発色は写真で見た目のように写すのが非常に困難です。
コンパクトデジカメしか持っていない私としては毎回こやつとモスコーブルーの撮影には嫌気が差す訳で、
ちゃんとした照明機材が欲しい訳です。
でも、分かる人には分かるだろう的なノリで出品していたのですが、水槽の蛍光灯を消して部屋の明かりだけ
にすると良く目立つことから、
上からではなく、正面から照明を当てて撮影すると見た目と同じ紫色がたまに表現できるようになりました。
照明と言っても20Wの水槽用の蛍光灯を立ててるだけですけどね・・・
その方法で撮影したのが1枚目のレースとC以下のレースです。
フラッシュなしマクロで露出補正マイナス2〜3ぐらい。ピンボケなのはご愛嬌ということで(笑)
ちなみにスタン氏のパープルデルタは上からライトでフラッシュ撮影
それでもこれだけ綺麗に撮れるのですが、カメラと被写体の角度がうまくいかないとこの様に撮れませんし、
フラッシュ撮影では電池がいくら有っても足りなくなってしまう。
生き物の撮影は難しいですね。

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