遺伝学について

このページでは、遺伝についてもう少し越し踏み込んだ話をしています。

これらの話は、グッピーの遺伝を知る上で重要ではないと思います。

私たちの体は色々な細胞が集まって出来ていることは、学校でも習いました、

ではその細胞を形作っているものは何でしょう。

人間の細胞は、核を中心として、ミトコンドリア、リボソーム、リソソーム、ゴルジ体などを

細胞膜が包んでいる状態です。この核の中に、染色体と呼ばれる遺伝子群があります。

この遺伝子群はヒトの場合２２対の常染色体と、１対の性染色体に分かれています。

この染色体レベルでの遺伝子群をゲノムと言います。

ゲノム計画とは、染色体レベルでの遺伝子群がどのような配列になっているかを

すべて解明することをゲノム計画といいます。

ヒトの他にも、モデル生物と言われるいくつかの生物のゲノム解析も行われてきました。

２００３年には２２０００のヒトの全ゲノム配列が決定されました。

ヒトには２２対の常染色体と、１対の性染色体があると言いましたが、ではDNAとは何でしょう。

DNAとは、デオキシリボ核酸の略で、デオキシとは酸素が取れたと言う意味で、直訳すると、

酸素が取れた糖をもつ核酸と言うことになります。

DNAはアデニン(A)チミン(Ｔ)グアニン(Ｇ)シトシン(Ｃ)の４つの物質から出来ています。

この４つの成分をヌクレオチドと言いますが、このヌクレオチドがいくつか集まったものを

DNAそのDNAの集まりが染色体と理解してよいと思います。

染色体と言う名前の由来は、ギムザ液などに良く染まることからこの名前になりました。

DNAは体の中でどのような働きをしているのでしょう。DNAの働きは一言で言ってしまえば、

たんぱく質を作る設計図であると言えます。人間の体のほとんどはたんぱく質から出来ています。

例えば、髪の毛もたんぱく質から出来ていますが、髪の毛を作るのには、

髪の毛専用のたんぱく質の設計図が必要になります。

それぞれの細胞が必要なたんぱく質を作り出す為の設計図がDNAなのです。

DNAの設計図からどうやってたんぱく質を作るのかと言うと、DNAを転写するRNAという物質を使います。
DNAはATGC４つのヌクレオチドからなる核酸です。

このATGCにはそれぞれ対になるヌクレオチドが存在します。これを塩基対といいますが、

アデニン(A)にはチミン(Ｔ)、グアニン(Ｇ)にはシトシン(Ｃ)と対になる塩基は決まっています。

この対になっている塩基がらせん状につながったものを２重らせん構造といいます。

DNAが自分の一部をコピーして必要なたんぱく質を作る時、この塩基対の一部が剥がれむき出しになります。

この向き出しになったATGCに対して、RNAポリメナーゼという酵素が働き、

むき出しになったATGCに新たな塩基対を作ります。

このとき、元のチミン(T)の代わりにはウラシル(U)が使われます。

この新たな塩基対はmRNAと呼ばれ、このmRNAはDNAの一部を写し取ったコピーです。

このmRNAは、もとのDNAの金型のようなもので、

mRNAを金型にしてDNAが正確にコピーされ、アミノ酸配列が行われ、

設計図どおりのたんぱく質が出来るのです。

アミノ酸は２０種類が確認されています。システイン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、アスパラギン酸

などは有名なアミノ酸です。このアミノ酸がいくつか集まってたんぱく質を形成します。

つまり生物の体のほとんどはアミノ酸が作り出しているのです。

このアミノ酸の配列を指示しているのがDNAで、DNAのコピーがmRNAでした。

このmRNAのヌクレオチドAUGCの３個で１つのアミノ酸をあらわします。

アミノ酸をあらわす３つのヌクレオチドをコドンといいます。

システインはUGU,UGCという２つのコドンで表現できます。AUGCの４種類を３つの組み合わせでは６４通り(４
×４×４）の組み合わせができ、AUGを開始コドン、UAA,UAG,UGAの３つを終止コドンと言います。

ここでアミノ酸についてもうひとつ、地球上の生物のたんぱく質を形成するアミノ酸は、

すべて左型のアミノ酸で、対称の破れとして謎とされています。

アミノ酸には右型、左型両方存在するのに、なぜ生物は左型だけなのか？

という問いにはまだ明確な答えは出ていないようです。

この一連のDNA→mRNA→たんぱく質という流れは、地球上の生物すべてに共通する流れで、

これをセントラルドグマと言います。

かの、エヴァンゲリオンでも出てきたので、聞いたことはあるかもしれません。

このセントラルドグマは生命活動そのもです。その活動のために欠かせないのが、

たんぱく質の材料であるアミノ酸なのです。アミノ酸のいくつかは体内で精製できないので、

食事と言う行為から、アミノ酸を得ています。

これは人間だけでなく、すべての動物が、その生命維持のために食事をします。

食事は他者を自分の糧とする行為で、牛や豚が可愛そうだと、

菜食主義気取りのお馬鹿さんをたまに目にするが、菜食主義というのは、

人間としての生命活動を放棄したと言えるのです。人間には作り出せないアミノ酸を必須アミノ酸といい、

９種類のアミノ酸は、食事で摂取するしか方法がないのです。

しかも一つでも不足すると、他のアミノ酸も働かないと言う性質を持っています。

これらの必須アミノ酸は。動物性たんぱく質に多く含まれる為、肉食は人間の生命維持に必要最低限の行為
なのです。